働いていると職場でつらいことも多々起こります。
気持ちを切り替えて仕事に取り組めればいいのですが、つらい出来事を上手に消化できず落ち込み続けてしまう人も。
メンタルがあまり強くない人でも、働きやすい職場や職種はあるのでしょうか。
今回は「自分はメンタルがあまり強くない」と感じている457人を対象に、実際体験してみてわかった「メンタルが弱い人に向いている仕事」についてアンケート調査を実施しました。
- 調査対象:自分はメンタルがあまり強くないと感じている人
- 調査期間:2025年7月14日~23日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:457人(女性329人/男性128人)
- 回答者の年代:10代 0.9%/20代 18.6%/30代 40.1%/40代 22.5%/50代以上 17.9%
調査結果に対して、Smile Stage代表の内野しのぶ氏よりご考察いただいております。

■監修者プロフィール
内野しのぶ氏
Smile Stage代表(hhttps://smilestg.com/ )
国家資格キャリアコンサルタント/2 級キャリアコンサルティング技能士/21 世紀職業財団認定ハラスメント防止コンサルタント/アンガーマネジメントコンサルタント® など
感情コントロールやコミュニケーションを専門とした研修講師です。心理学の知見と実践的なファシリテーションを組み合わせ、受講者が自ら気づき、行動に移せる研修づくりを大切にしています。
メンタルが弱い人に向いている仕事1位は「製造スタッフ」

「自分はメンタルがあまり強くない」と感じている457人に「実際に経験したことがある、メンタルが弱い人に向いている仕事」を聞いたところ、1位は「製造スタッフ(12.9%)」でした。
2位「在宅で働ける仕事(12.3%)」が僅差で続き、3位「データ入力(11.6%)」、4位「事務職(11.4%)」を挙げた人も多くなっています。
職種としては、製造スタッフ・軽作業・清掃員などの作業系と、データ入力・事務職などのデスクワーク系が上位を占めました。
単純作業やルーティン業務だと、「判断の機会が少ない」「予測可能な業務で安心感がある」などの要素があるため、メンタルが弱くても比較的仕事しやすいと考えられていることが読み取れます。
また「在宅勤務」「人との関わりが少ない仕事」など、職種を問わず「働き方」が大切だと考えている人も多くなりました。
1位 製造スタッフ
- 半導体製造の現場で基盤を溶接する仕事。単純作業なうえ、ある程度手先が器用な場合、難しい作業を任され頼りにされるのでおすすめです。「あなたでないと、この作業はできないから」という雰囲気になり、叱責されたり無視されたりする方向にならないのです(40代 男性)
- 黙々と作業台に向かって組み立てをしていればいいので、他人と関わることが少なく、ストレスを感じにくいです。メンタルが弱くても、仕事になり、お金を稼げます(50代以上 男性)
1位は「製造スタッフ」でした。
製造スタッフについては、「決まった作業を反復するので簡単」「人と関わることが少ない」という点が評価されていました。
反復作業だと慣れてしまえば簡単なので、ミスが少なくなり、仕事内容についてのプレッシャーを感じにくくなります。
また基本的には物と向き合う仕事で、食品工場など作業中の私語が禁止されている職場もあるので、人間関係の悩みも少なくなります。
作業内容への適性によっては、メンタルが弱くても「頼られる実感」を得られるのもメリットです。
2位 在宅で働ける仕事
- 落ち込んでもすぐ家で休めるので、たいていのことは気にならなくなりました。たまに出社することが気分転換になります(20代 女性)
- 直接的に人と関わることなく、やり取りも基本的にメッセージなどで形に残るため、内容を見返せていい。自分しか部屋にいないため、周囲の雰囲気などを直接感じることなくのびのびと仕事できる(30代 女性)
2位は「在宅で働ける仕事」でした。
職種や仕事内容に関わらず、在宅勤務できる仕事を挙げた人も多くなりました。
実際に在宅で働いてみて、精神的な楽さを高く評価している人が多数。
在宅で働くと精神的に楽になる理由は、「自分のペースを守れる」「周囲を気にしなくていい」「直接指摘されたり怒られたりすることが少なくなる」などがあります。
メンタルが不安定になってしまったときも、席を外したり画面を見ないようにしたりなど、自分が望む回復方法を選択しやすくなるのもメリットです。
3位 データ入力
- 黙々とできて、最低限の関わりで済むから(30代 女性)
- 他人との駆け引きや交渉など面倒な作業がなくて、自分のペースで仕事の配分を決めて作業できること。アイデアや考えを巡らせて悩むことが少ないのも、精神的なプレッシャーが少なくなるのでおすすめです(50代以上 男性)
3位は「データ入力」となっています。
データ入力はルールに従って淡々と進める業務で、黙々とできます。
自分のペースを乱されず、自分が予定したとおりに作業を進めやすいのが特徴です。
また、創造性や交渉力、臨機応変な対応などを必要としないので、プレッシャーが少ないと考えている人もいました。
4位 事務職
- 学校事務。あまり仕事にプレッシャーがないし、納期に焦らされることもない。相手先は保護者なので基本的に丁寧な対応をしてくれる(20代 女性)
- パソコン相手に仕事するので、人前で話すのは電話くらいだから(40代 女性)
- 営業成果やノルマがないからです(50代以上 男性)
4位は「事務職」でした。
事務職は営業ノルマに追われることが少ない職種です。
また穏やかな上司・同僚や取引先・来客が多い職場であれば、「ミスをしたらひどく怒られるかも」「威圧的な人がいて怖い」とビクビクすることなく働けます。
具体的には「研究所の事務」「学校事務」「小規模な店舗の事務」などが、メンタルがあまり強くない人に向いている仕事として挙げられました。
また「大企業で分業制の事務」という声もあり、広範囲な仕事を任されるのではなく、自分の守備範囲を確立することで、プレッシャーが減ることもわかります。
ただし「電話対応や接客が多い事務」「取引先や営業担当とのコミュニケーションを求められる事務」「対応範囲が広い事務」などもありますので、応募時には仕事の実態を調べておくことが重要です。
5位 軽作業スタッフ
- ひとりで黙々と作業することが多く、周りの人を気にしなくていい。簡単な作業なので責任が少ない(20代 女性)
- 体は使うが作業に集中すればいいのでメンタル的にとても楽。また人間関係も限定されるので、精神面での負担がすくない(40代 男性)
「軽作業スタッフ」が5位になりました。
軽作業スタッフは倉庫や配送センターで、「梱包・封入」「仕分け」「ピッキング」といった単純作業を繰り返す職種です。
基本的には個人での作業が多くなるので、人間関係のストレスは少なめ。
さらに簡単な作業が多くノルマも決まっていないことが多いので、「失敗したらどうしよう」「ノルマを達成できなかったらどうしよう」といったプレッシャーも少なくなります。
人間関係と仕事内容のプレッシャーから解放されたい人にはおすすめです。
6位 人との関わりが少ない仕事
- 人と関わらず電話業務もないような、ひとりで黙々とこなせる作業が一番いいと思います。メンタルが弱いと他人の機嫌や、周りの雰囲気に左右されることが多いので(20代 女性)
- ガソリンスタンドの夜間業務とか、ひとりで作業する仕事。ほぼひとりだし、夜間にあまり客は来ない。セルフなら機械の操作だけで済むときもある(30代 男性)
- 試食販売など、ひとりで完結する仕事。ルールさえ守ればひとりで気楽に働けるところがいいです(40代 女性)
6位は「人との関わりが少ない仕事」でした。
職種に関わらず、人とあまり関わらずにひとりで完結できるような仕事をおすすめする人も多くなりました。
仕事するうえで人とあまり関わらないと、当然ながら人間関係のストレスは減ります。
具体的な職種としては「ガソリンスタンドなどの夜勤」「試食販売」などが挙がっています。
お客さんの少ない店舗・時間帯であれば、接客業であってもできると感じる人もいることがわかります。
7位 ライター
- フリーランスのWebライター。自宅で、自分のペースで働ける(20代 男性)
- 自宅で完結するため、仮に怒られることがあったとしても対面ではないため(20代 女性)
- 人と会わずに仕事を完結できて、気が楽。苦手な仕事や、ひどいことを言うクライアントからの仕事は、メールで断れる。技術さえあればクライアントから文句を言われることが少ない(50代以上 女性)
「ライター」が7位です。
フリーランスのライターは、基本的に在宅で完結する仕事です。
クライアントとのやり取りもメールが中心になるので、直接対面することがほとんどなく、人間関係のストレスは少なくなります。
またライター業は納期さえ守れば自由な時間に作業できることも多いので、自分のペースで働けるのもメリット。
「メンタルが強くない人は繊細な傾向があるので、丁寧な言葉遣いができたり、文章の間違いに気付きやすくなったりする」と、繊細なメンタルだからこその強みを生かせるという声もありました。
8位 清掃員
- 基本的に個人で黙々と作業する仕事なので、大勢の人と関わらなくて済む。複雑で難しい作業を依頼されることが少ない(30代 女性)
- 清掃業はやるべきことをしっかりとすれば、注意されることがない点でおすすめです(40代 女性)
「清掃員」が8位になりました。
清掃業務は決められた時間と持ち場で黙々と作業するため、人間関係での悩みが発生しにくくなります。
作業自体は単純でわかりやすく、ミスがあっても大きな問題にはなりにくいので、仕事内容に対するプレッシャーも少ないのがメリットです。
「難しい判断を迫られない」「怒られることが少ない」といった点も評価されています。
メンタルの弱い人が職場でつらいのは「怒られるとき」

「メンタルの弱い人が職場でつらいのはどんな時か?」を聞いたところ、1位は「怒られるとき(16.0%)」でした。
2位「指摘されるとき(14.2%)」、3位「ミスをしたとき(14.0%)」、4位「人間関係でつまずいたとき(13.8%)」が続きます。
「怒られる」「指摘される」「威圧的な態度」など、他人から何らかの影響を受けてつらいと感じる人が多数。
職場における人間関係やコミュニケーションが、ストレスの大きな要因になっているとわかりました。
1位 怒られる
- お客様に怒られて、ずっと引きずってしまう(20代 女性)
- 他人から怒られるのが苦手です。怒られると話の内容が頭に入らなくなり、ただ怒られていることに委縮してしまいます(40代 男性)
1位は「怒られる」でした。
メンタルの弱い人は怒られたことをずっと引きずってしまい、職場でつらくなることがわかりました。
怒られた内容に注目するのではなく、怒られていること自体に「どうしよう」と考えてしまうので、ただただ怒られていることが苦痛になる例も。
また軽微な行動やミスで過剰に叱責されるようなことがあると、「何をしたら叱責されるのか」という基準がわかりにくくなります。
すると職場で過度にプレッシャーを感じてビクビクしてしまうことになると考えられます。
人前で怒られる、大声で叱責されるなど、相手の怒り方に問題があると感じられるケースも多くありました。
2位 指摘される
- 何かミスをしたときに上司から指摘されると「自分ってやっぱり何もできない人間だな」などとネガティブな感情になってしまう(20代 男性)
- ただの指摘に過ぎないのに、「攻撃された」と過剰に反応してしまう(40代 女性)
- 「作業が遅い」「作業にミスが多い」と注意されたとき(50代以上 女性)
2位は「指摘される」でした。
ミスをしたり仕事の効率が悪かったりすると、指摘や注意をされることはよくあります。
ただの指摘に過ぎないと頭ではわかっていても、心がつらくなってしまう人も。
メンタルがあまり強くない場合には、指摘や助言を「改善につながるアドバイス」としてではなく、「自分の無能さの証明」「他人から自分への攻撃」として受け取ることもあるとわかりました。
3位 ミスをした
- ミスをしてしまったとき。誰かに言われることよりも、「自分がミスをしてしまった」という事実に悲しくなります(20代 女性)
- ミスをしてしまって、「あとで怒られる」と感じた時点でパニックになる(30代 女性)
- ミスをしたとき。ミスしたあとに何をしてよいのかの切り替えができなくて、ずっと落ち込む(50代以上 男性)
3位は「ミスをした」となっています。
ミスをしてしまったとき、ミスをしたこと自体につらさを感じる人もいました。
ミスして怒られたわけではないのに、自分で自分を責めてしまったり、「怒られるかも」と悪い想像をして怖くなったりしてしまうのですね。
メンタルが強くても、ミスをして「やっちゃったな」と落ち込む人はいます。
ただメンタルがあまり強くない人は、ミスをしたときに、なかなか気持ちを切り替えられなくて引きずってしまう傾向にあることも伺えました。
4位 人間関係でつまずいた
- 人間関係が良くないと感じるとき。「自分だけが浮いているんじゃないかな」って感じるとき(10代 男性)
- 同僚とのコミュニケーションがうまくいかない場合に、孤独感が強くなり、他人の言動に過剰に反応してしまうことがある(20代 男性)
4位は「人間関係でつまずいた」でした。
メンタルがあまり強くない人は、周囲とうまくなじめない状況だとつらく感じやすいこともわかりました。
人間関係がうまくいかないことで敏感になり、周囲の声や態度に傷つけられやすくなってしまうという例も。
陰口」や嘲笑といった、相手が悪いと思えるような状況でも、怒るのではなくつらく感じてしまうのですね。
5位 威圧的な態度をとられた
- 「なんでも聞いて」と言う割に、実際聞きに行くと「後にして!」「前説明したよね?」と圧をかけられるとき(20代 女性)
- 言葉の圧が強い人との会話。威圧感のある人と組まされたとき(30代 女性)
- 攻撃的な上司や同僚がいる(50代以上 男性)
「威圧的な態度をとられた」が5位になりました。
威圧的な態度をとられると、メンタルの弱い人は恐怖を感じて萎縮してしまいます。
親切そうな言葉をかけておきながら、実際に助けを求めると冷たく拒否された例も。
メンタルの強い人なら「自分に自信がないから、マウントをとろうとしているんだな」「問題のある言動であり、ハラスメントだな」と感じ、反論するかもしれません。
しかしメンタルの弱めな人にとっては、上記のような行動をとるのはハードルが高いと考えられます。
6位 機嫌の悪い人がいる
- 自分には関係ないことで、周りの人がイライラした態度をとったり、怒鳴ったり大声を出したりしているとき。とにかくマイナスな雰囲気になると、自分の業務にも支障が出るくらい落ち込みます(20代 女性)
- 周りの人が怒っていたりイライラしていると、自分のせいではないかと考えてしまう(40代 女性)
6位は「機嫌の悪い人がいる」でした。
機嫌の悪い人が職場に与える影響は大きく、直接関係のない人にも不安を与え、パフォーマンスを低下させているとわかりました。
メンタルが強くなくて繊細だと、他人の怒りや苛立ちを自分のせいかもしれないと捉えてつらくなることもあります。
日常的に不機嫌な態度をとっている人がいる職場では、常に他人の機嫌を伺う必要があり、精神的な消耗が激しくなると想像できます。
7位 人前で話す
- ミーティングなど、全従業員の前で感想や意見を発表するとき(30代 男性)
- 会議や打ち合わせなどで発言を求められると、若干つらく感じます。さらにつらいのは自分の発言に対して意見を出され、追加で説明を求められることです。反論とまではいかずとも、何かしら他人と対峙することとなり、どんどん委縮し気持ちがしぼんでしまいます(50代以上 女性)
「人前で話す」が7位です。
人前で話す場面で、自分や発表内容に自信がないと、「失敗したらどうしよう」「変に思われたくない」という不安が強くなります。
会議などでは自分が発表したあとに質問や反論がくる場合もあり、望んでいないのに他人と対峙する構図になってしまい、つらく感じる人もいました。
「数日前から緊張して胃腸が弱くなってしまう」という声もあり、体調不良にまでつながっていることもわかりました。
まとめ
メンタルが弱い人に向いている仕事としては「製造スタッフ」「軽作業スタッフ」「データ入力」「ライター」などが挙げられました。
いずれも人間関係のストレスが比較的少ない仕事です。
メンタルがあまり強くない人は、職場の人間関係からストレスを受けやすいことから、人間関係のストレスが少ない仕事がおすすめされています。
また仕事内容が高度だとプレッシャーを感じて仕事しにくい人には、反復作業で安心して取り組める仕事もおすすめされていました。
メンタルに不安がある人こそ、無理をせず、少しでも安心できる環境を選ぶことが、長く働き続けるためのカギになります。
なおメンタルがあまり強くない人が安心して取り組める仕事でも、手先の器用さから頼りにされたり、納品物の質で高い評価を受けたりすることは可能です。
最後に当記事の監修者、Smile Stage代表の内野しのぶ氏の総括コメントを紹介します。

調査結果から、メンタルがあまり強くないと感じている人とは、「周りの出来事や人の言葉に影響を受けやすく、人間関係のストレスや自分への評価が揺れやすい人」と捉えることができそうです。
これは性格的な弱さではなく、感受性の高さが裏返しとなって負荷につながっている状態とも言えます。
こうした傾向を持つ人が安心して働くためには、「予測しやすく、人間関係の負荷が少ない環境」が重要です。
安心できる環境が整うことで、本来の集中力や丁寧さといった強みがより発揮されやすくなるでしょう。
そして、自分の感じ方を理解し、気持ちを整える方法を身につけることも、長く働き続けるうえで大切な支えになると考えられます。
